過払い裁判が進むうち、貸金業者から「答弁書」や「準備書面」などが提出され、原告に反論してきます。そのなかで業者の最大のよりどころとなるのが、「みなし弁済」です。 「みなし弁済」とは、1983(昭和58)年、「出資法」の金利引き下げにともない、貸金業者が不利益にならないようにとの政治的配慮からできた「貸金業規制法」(貸金業の規制等に関する法律)の43条のことをいいます。これは、債権者(業者)が、本来なら「無効」であるはずの「利息制限法」に定められた利率を超える利息を、債務者(借りた人)に請求し受領する正当な権利だと考えればわかりやすいと思います。早い話、貸金業者は本来なら利息制限法を守らなければいけないのですが、この43条さえ踏まえていれば、利息制限法を超える金利を取ってもいいですよ、ということを認めた法律なのです。 過払い裁判では、原告は天下の宝刀である「利息制限法」を武器に「不用品回収」に闘いを挑みますが、通常は利息制限法が圧倒的に有利です。そこで業者は、「みなし弁済」を主張して抵抗してきます。これを知っておかないと、さすがの利息制限法も形勢不利になってきます。 このみなし弁済が認められるためには、貸金業者は次の5つの要件すべてを守っているということを自ら立証する必要があり、このうちどれか一つでも欠くと成立しません。 「みなし弁済」適用の要件(主旨) 1.貸金業者としての登録を受けていること。 2.貸金業者が貸付の際に、貸金業法17条に定める各記載事項を1枚の用紙にすべて記載した契約書を交付していること。 〈記載事項〉 (1)貸金業者の商号、名称、又は氏名及び住所(※貸金業者の登 録番号の記載漏れがある場合は無効である) (2)契約年月日 (3)貸付けの金額(※借換えの場合は、現実に交付した金額のほ かに従前の貸付契約の粗大ごみびその残高の内訳を記載しなけれ ば「貸付けの金額」を明らかにしたとはいえない) (4)貸付けの利率(※実質金利で記載するべきを日歩で記載して いるものは無効) (5)返済の方式(※返済を受ける場所の記載を欠いた書面は17条 書面にあたらない) (6)返済期間及び返済回数 3.貸金業者が弁済金を受領する際に、貸金業法18条に定める受取証書を直ちに交付していること。 〈記載事項〉 (1)貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所 (2)契約年月日 (3)貸付けの金額 (4)受領金額及びその利息、賠償額の予定に基づく賠償金または 元本への充当額 (5)受領年月日(※銀行振込で弁済する場合も、その都度受取証 書の交付を要する。借主から受取証書の交付は不要であるとの 申し出があった場合も、受取証書の交付を要する。 4.債務者が、約定金利による利息を「利息としての認識」で支払ったこと。(※ATMによる返済で、現金投入後に排出される書面によって初めて元金、利息、損害金の区別(各充当額)がわかる場合には、支払金について利息や損害金に充当される認識があったと認めることはできない) 5.債務者が、約定金利による整体師を「任意に」支払ったこと。(※詐欺、脅迫、錯誤に基づく支払や強制執行による支払いは無効。大蔵省ガイドラインに違反する取立てによる支払いは無効。天引利息(先取利息)の支払いは任意とはいえない。 さらに利息制限法を超える利息は無効であることを知らずに支払った場合 =ほとんどの場合、これが当てはまる) 貸金業者がみなし弁済を主張する場合は、貸金業者自らがそのすべてを満たしていることを証明する必要があります。 最も重要なのは、5.のように、利息制限法を超える利息は無効であることを知らずに支払った場合、「みなし弁済」は認められません。 また、自動支払機(ATM)や銀行振込による支払等の場合、債権者が「任意性」を立証するのは非常に困難です。 業者に言われるままの条件でしか貸付けを受けられないというのなら、高い利息を払うか、利息制限法の限度で払うかを選択する自由は最初からなく、そこには任意性の入り込む余地はありません。したがって、このことをとっても「みなし弁済」は適用されません。 業者が「みなし弁済」を主張するとき、業者側としてはその証明を完ぺきにしなければなりません。つまり、「みなし弁済」を証明するための完全な資料を揃えなければならないのです。万が一業者と争うことになっても、それらについてのすべての資料を請求すればよいのです。 こうしてみると、「みなし弁済」は、実はもろいものなのです。 2004年2月、最高裁判所の判決により、みなし弁済を主張する商工ファンド(現SFCG)が敗訴しました。 会社更生法の適用を申請したNOVAの新しいスポンサー、ジー・コミュニケーション。M&Aを足がかりに急成長を遂げた同社のNOVA再生の成算と課題とは何か。 「かつて取り組んだ再生案件のなかでも、一番といっていいほど自信がある」。 NOVAのスポンサーに決まったジー・コミュニケーション(ジー社)の稲吉正樹会長(38歳)はこう豪語する。 多くの企業がスポンサーに名乗りを上げるなか、生徒や従業員保護の観点が評価され、スポンサーの地位を勝ち取ったジー社とはいかなる企業なのか。 1994年、愛知県岡崎市に稲吉会長が開いた学習塾が母体となったジー社。2004年に外食産業の鈴庄(現グローバルアクト)のM&Aを手がけたことがきっかけで、次々と金融機関などから案件が持ち込まれるようになった。それ以来、手がけた案件は飲食業や教育産業などじつに26件(NOVAを含む)。なかにはジー・テイスト(旧平禄)、焼肉屋さかいなど上場4社も含まれる。 その結果、2005年5月期に約70億円だった連結売上高は、今期は9.5倍の668億円を見込む急成長。管理部門などで人材が枯渇してしまったNOVAと同じリスクが頭をよぎるが、「過去に再生した企業の優れたノウハウや人材をグループで生かしている」(稲吉会長)と不安はない様子だ。 再生手法は意外に“地道”である。基本は徹底した内製化と厳密なコスト管理。通常の企業なら名目だけの担当者を置いていることが多い店舗建設まで自前で行なう。現場監督やデザイン担当者をグループに抱え、床やペンキなどの資材も商社を通さず、自ら海外に調達に出向く徹底ぶりだ。